高崎高島屋のセレクトショップ「メゾン・ド・F」が日本橋高島屋に1週間限定で出店し、予想の2倍を売り上げた。国内の産地を巡り目利きした岐阜の靴下や愛知の毛織物など約50のブランドを並べ、作り手の思いを届ける販売スタイルで反響を呼んでいる。

人気商品の一つは刺しゅうアクセサリー「トリプル・オゥ」で、桐生で明治10（1877）年創業の笠盛が編み出した立体刺しゅうのネックレス（4400円～）などが固定ファンを獲得している。東京・葛飾の長沢ベルト工業による本革なのに伸びるベルト（1万4300円～）も好評で、日本橋高島屋での取り扱いが決まった。

バイヤーを務めるのは紳士服・紳士雑貨・スポーツ部次長の中里康宏氏。中里氏は2014年に工場見学を始め、社内起業制度で19年に事業化。20年の開店時は15平方メートルに10のブランドを並べたが、21年のテレビ東京「ガイアの夜明け」特集後に売り場は80平方メートルに拡大したという。9月の日本橋高島屋出店では、東洋繊維の靴下（3000円）が500足を売り上げ、東京のチ・ワタの革かばん（約8万円）も多く売れた。全国展開は考えていないとしつつ、地方の魅力を伝える取り組みとして注目されている。