洋画家の米村太一さん（40）＝伊万里市＝が、熊本県阿蘇郡南阿蘇村の白水郷アートプレイスで個展を開いている。展示は佐賀大在学中の作品から「MEISAI」シリーズの旧作と新作約40点を並べ、これまでの歩みと現在地を示している。

背景と同じ色彩の絵の具をかぶった人物を描く「MEISAI」は、周りの意見に合わせて生きる安心感と不安感を表す人物画で、「MEISAI-53」（2025年）や「MEISAI-06」（2022年）を含む作品を展示している。

同シリーズの一作は2023年に第7回青木繁ビエンナーレで大賞に輝いた。米村さんは絵の具をひっくり返してできた水たまりの形をトレースし、雲形のパネルを自作するなど制作過程にも工夫を凝らしている。

当初はSNSのアイコン色を意識した鮮やかな色を用いたが、その後はグレーなど彩度の低い色も採用しており、「使う色の意味にこだわるともったいない。今は純粋に色の組み合わせを楽しんでいる」と話している。

展示には、人の目を引く虹の求心力に注目した立体や、大学院在学中に「笑顔」について研究した絵画も並ぶ。企画した元高校美術教諭の下田眞一郎さん（71）＝山鹿市＝は、絵にある意味を読み取る現代アートの面白さに期待を寄せている。

6日は午後1時から石こう版画でクリスマスツリーを作るワークショップを開く。対象は小学5年以上で参加費（材料代）は千円、定員10人、事前予約制である。会期は12月24日まで、会場は午前10時から午後5時（木・金曜休館）、観覧料は500円。問い合わせは白水郷アートプレイス＝電話0967（65）8331＝。