東京・杉並区の高円寺で、風情ある「高円寺純情商店街」を含む地域で大規模な再開発計画が浮上している。計画は高円寺から練馬区までの4.5キロに渡る幹線道路の整備で、木造建物が密集する地域の防災力向上が主な目的である。

現在、純情商店街には飲食店など約200店舗が軒を連ね、作家・ねじめ正一さんの小説の舞台にもなった人気の商店街である。商店街周辺は道幅が狭く木造の建物が密集している現状も指摘されている。道路が整備されれば今の商店街は姿を消す可能性があると報じられている。

再開発に対しては賛否が分かれており、地元の反対意見も強い。高円寺に住んでおよそ30年のさいとう電気サービス・齋藤正明さんは反対を表明し、「狭い道路の中でジグザグに買い物ができたり、結構にぎわっている。そういう意味では、そういうものが壊されていくことになると思うので、大変危機感を持っている」と述べている。齋藤さんら約20人は先月、この再開発計画の中止を求める要請文を区に提出した。

また、インターネット上で先月15日から始まった署名活動は2週間ほどで1万件を超えた。周辺ではガード下のレトロな商店街でも老朽化に伴う再開発が進んでおり、70代の住民は「（魅力は）庶民的なとこかな」と語り、スウェーデンからの観光客は「ユニークで良い雰囲気ですよね」と評価している。一方で50代は「開発をしてしまうことは、道路になってしまうので、親しんできたお店や文化がなくなるじゃないですか。それがすごく寂しく感じる」と述べ、30代は「（高円寺の）文化を崩してまでやると、何のためにするのかと思う」と懸念を示している。高円寺の伝統やにぎわいを守るべきだという声が根強く、今後の区の対応が注目される。