2025.12.1
国宝「源氏物語絵巻」徳川美術館で全点公開
2025.12.1
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徳川美術館の開館90周年を記念する特別展「国宝 源氏物語絵巻」が、名古屋市東区の徳川美術館で2025年12月7日(日)まで開催されている。
平安時代に制作された現存最古かつ重要な物語絵巻を、すべて一挙に観賞できる貴重な機会である。
今回の展示は、徳川美術館所蔵の徳川本と五島美術館所蔵の五島本、さらに断簡として現存する9点（うち2点は所在不明）を含め、すべてが一堂に公開されている点が特徴である。
徳川本と五島本が合わさることで、第36帖「柏木」から第40帖「御法」までが通しでそろい、物語の重要な場面を連続して鑑賞できる構成になっている。
会場では人物表現の技巧にも注目しており、目を細い線で表し鼻を「く」の字形で示す引目鉤鼻や、瞳の位置を細い線で重ねる描法などの繊細な描写が紹介されている。
展示は詞書と絵が交互に配置された巻子装として伝来した点を踏まえ、保存の観点から昭和7年に徳川本は巻子装を解体して絵と詞書を1枚ずつ台紙に貼り付けた額装に改装され、同年に五島本も額装に改装された経緯についても触れている。
こうした保存改装の歴史や伝来経路（徳川本は尾張徳川家、五島本は阿波蜂須賀家を経て伝わった点）も解説され、文化財としての価値と展示の意義が示されている。
平安絵巻の制作技法や登場人物の内面表現を間近で確認できる展示内容は、古典美術の保存と鑑賞の両面で貴重な機会を提供している。
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