29日、紅葉の名所である高尾山に登山客が殺到した。物価高の影響で“節約の行楽地”として注目され、都心から電車でおよそ1時間というアクセスの良さが背景にある。

ケーブルカーは本来、運行開始は午前8時だが、29日は混雑緩和のため30分前倒しで運転を開始した。運行間隔も15分から7分に短縮されたが、午前9時ごろには長い列ができ、最大20分待ちとなった。

車窓からは紅葉のトンネルのような景色が広がり、車内は常に満員状態だった。ケーブルカーを降りた先でも名物・天狗焼きを求めて行列ができ、ある来訪者は「20〜30分くらい並びました」と話した。別の来訪者は「サクッとして、もちもちしておいしい」と感想を述べた。

昼過ぎは登山と下山の時間帯が重なり山道が混雑し、薬王院の本堂や穴をくぐり大錫杖（しゃくじょう）を鳴らすと願いがかなうとされる人気スポットにも参拝の列が生じた。子ども（5歳）は「きれいな景色が見られますようにとお願いした」、子ども（6歳）は「紅葉がきれいだった」と話しており、家族連れの姿も多く見られた。

年間登山者数が300万人ともいわれる高尾山の人気ぶりが改めて示され、日帰りで行ける利便性や「安近短」といった理由で幅広い世代の来訪が続いている。