ハーバード・ヘルス・パブリッシングの調査では、ピックルボール関連の怪我の数は2017年から2024年の間に約10倍に増加している。これらの怪我のうち47.9%は捻挫、腱断裂、筋肉断裂などの軟部組織の損傷であり、10%は変形性関節症による痛み、9.2%は骨折であった。

調査結果は負傷者数が競技者数の増加より速いペースで増えていることと、負傷の大部分が軟部組織タイプであることを示している。これらの特徴はスポーツの性質よりも選手のプレースタイルや体調が影響している可能性を示唆している。

クリーブランド・クリニック病院（米国）のマイケル・ダッカック医師は、多くの選手が「以前は運動不足だったが、今はピックルボールをやりすぎている」点を指摘している。基礎体力や反射神経の不足、ウォーミングアップの不備、方向転換に適さない靴の使用などが捻挫や腱炎、肩の痛みに結びついているという。

ピックルボールは誰でも始めやすく、特に女性や中年女性に人気があるが、その手軽さゆえに長時間や高強度でのプレーが軟部組織への反復負荷を生み、「使いすぎ」や急性の怪我につながる場合がある。負傷の増加によりこのスポーツが「怪我をしやすい」というイメージを持たれることもあり、多くの選手がピックルボールをやめて他競技に転向する例も出ている。

一方で、ピックルボールが同様のスポーツより明らかに負傷しやすいと結論付けるのは根拠が不十分であると調査は述べている。記事は予防として適切な準備運動や体力づくり、用具選びの重要性を示唆している。