良品計画の住宅事業を担うMUJI HOUSEが「MUJI INFILL 0 一棟リノベーション」を開始した。第1弾として北陸電力が保有する旧社宅2棟（富山市・金沢市）の全面改修に着手し、2026年春から順次入居が始まる予定である。

MUJI HOUSE専務取締役の田鎖郁男氏は「長く使えて、暮らしに合わせて変えられるというMUJIの思想を、一棟全体にまで拡張した取り組みになる」と述べた。北陸電力・事業開発部長の屋鋪誠氏は社宅の利用率低下や維持管理コスト、老朽化による安全リスクを背景に、単なる改修ではなく価値創造を目指すと説明している。

MUJI HOUSEの豊田輝人本部長は新築費の上昇を指摘し「2015年を100とすると新築の原価は140〜145程度」と示し、リノベーションがコスト面で有利であると説明した。今回の「MUJI INFILL 0」は建物内部をフルスケルトン化し、築30年前後の構造体を確認・補修した上で再構築する方式が特徴である。

さらに断熱材を壁・床・天井へ全面施工し、寒冷地レベルの樹脂サッシとペアガラスを採用して断熱等級5以上を確保する方針である。建て替えよりコストを抑えつつ安全性・居住性を高めるストック再生として、遊休資産の再価値化モデルを目指す取り組みである。