映画『国宝』が11月24日、実写日本映画歴代興行収入ランキング第1位となる173億7739万円を記録した。主演は吉沢亮で、原作は吉田修一の小説である。

これまでの第1位は173億5000万円だった「踊る大捜査線THE MOVIE2レインボーブリッジを封鎖せよ！」（2003年）で、今回の更新は22年ぶりの快挙である。純然たるヒットの要因として、テレビドラマや劇場版の先行がない中で観客の口コミで動員が伸びた点が指摘されている。

作品が歌舞伎を題材にしていることもあり、その人気は歌舞伎界にも波及して古典芸能の新たなファンを生み出している。さらに、米アカデミー賞の国際長編映画賞にもノミネートされる可能性があり、最終候補15作品への選出は12月16日に発表される。

記事は、日本の実写映画に記録的な大ヒットが約20年の周期で現れる傾向を指摘し、「南極物語」（公開1983年、興行収入110億円）や市川崑総監督の「東京オリンピック」（1965年、配給収入表示）を例に挙げている。現在の『国宝』の観客動員数は1231万人に上り、その数字も注目されている。SNSを通じた話題化がカルチャーブームを生み、作品の裾野を広げた点も重要な要因とされる。