ベトナムで「1,600万人がピックルボールをプレー」とする報道が広がっているが、その出典と算出方法に疑問が呈されている。多くの報道はPPAツアーピックルボールアジアの統計を引用しており、親組織としてUPAアジア（米国ピックルボール協会）がアジアで「広範囲な調査」を行ったとされる。

調査ではベトナムのピックルボール認知度が88%に達すると報告され、PPAは「月に1回以上プレーする人が1,600万人いる」と述べた。記事はさらに中国で6,000万人、インドで1億7,800万人との数値も示されたことを伝えている。

しかし統計の詳細を見ると、UPAは「アジア12カ国、各国約1,000人ずつ、計14,000人の国民を対象に調査を実施した」としており、サンプル数は限定的である。ベトナムでは約1,000人のうち約160人（16%）がプレーヤーと算出され、これをベトナムの人口約1億人に掛け合わせて1,600万人という「仮想数値」を算出した。

同様の計算法が中国やインドにも適用されたといい、現地メディアが数千万人や数億人の国民的競技者を報じた事実はないと指摘される。加えて記事は、ピックルボールが質の高いコートと高価な用具を必要とする特殊なスポーツである点から、何百万人規模の普及は極めて大きく理不尽であると論じている。

これらの点から、提示された巨大なプレーヤー数は調査手法の単純な外挿に基づく「推定値」であり、数字の出典と算出過程を慎重に確認する必要があると結論付けられている。