2025.11.26
2025.11.26
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漫画家・深谷かほるのSNS発表作『夜廻り猫』の一エピソードが紹介されている。急な腰痛で半休を取った女性が、帰路で座って休みたいと考える場面が描かれている。
バス停のベンチは「とても小さく狭く、座面が浅い」とされ、女性はゆっくり休める場所がない現状に苛立ちを覚える。家の前に「みんなの椅子です どなたでもお休みください」という看板とベンチを見つけるが、住民が出てきそうになったため立ち去ってしまう。
女性は「優しさがない世の中がいやなのに、優しくされたら詐欺か宗教かと思っちゃった」と内心を漏らす場面がある。夜の街を回っていた猫の遠藤平蔵に「うどん、食べる?」と声をかける描写で場面は締めくくられる。
深谷は別の経験として、腰が直角ぐらいに曲がって杖をつく高齢女性が駅へ向かうのを見たことを思い返している。駅までは健康な人でも徒歩20分ほどであり、途中に休めるベンチがほとんどない現実を指摘する。
こうした日常の細部を通じて、作品は都市の冷たさと小さな優しさの存在を静かに問いかけている。なお、深谷は『ハガネの女』『カンナさーん!』などで知られる作家である。
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