日本各地の名建築が老朽化や用途変化で解体の危機に直面する中、リノベーションやコンバージョンによる再生プロジェクトが注目されている。

ELLEdigitalが紹介するリノベーションホテル5選は、元の魅力を残しつつ新たな価値を生み出す事例を集めている。

江戸時代に商業の中心地として栄え、のちに東京の主要な金融街となった日本橋・兜町では、平和不動産が中心となり「兜町再活性化プロジェクト」を始動した。

その象徴として2020年2月に誕生したのが「K5」で、1923年に「第一国立銀行」の別館として建てられた築100年を超える銀行建築をコンバージョンしている。

建築とインテリアデザインはクラエソン・コイヴィスト・ルーネ（CKR）が担当し、日本独自の感覚である「あいまいさ」を軸に静と賑わい、都市と自然をつなぐ設計が行われた。

館内にはYardWorksの植栽が点在し、床タイルで空間の連続性を演出するなど職人の技や素材へのこだわりが活かされている。

京都の烏丸御池直結の複合施設「新風館」を活用した「エースホテル京都」は、1926年に吉田鉄郎が手がけた「旧京都中央電話局」を活かし、リチャード・ロジャースの増築や隈研吾の設計監修を経て現在の姿となっている。

エースホテル京都は「East Meets West」をテーマに、内装をコミューンデザインが担当し、地域の工芸やアートを取り入れている。

全213室を備え、柚木沙弥郎の作品やミナペルホネンのファブリックを配し、一部客室にはターンテーブルやギター、ミニバーなど遊び心ある設備も用意されている。

音楽イベントやアート展を開催し、訪れるたびに新たな出合いや発見がある滞在をうたっている。

生まれ変わった建築での滞在は、その歴史と地域性を体感する機会を提供する。