佐伯守美さんの作陶５０周年を記念する特別展が、益子町の「やまに大塚」２階のギャラリー緑陶里で開かれているである。会場にはこの数年で製作した作品およそ１５０点が展示され、会期は１２月７日までである。

佐伯さんは１９４９年、彫刻家の父・佐伯留守夫さんの長男として生まれ、東京藝術大学大学院を経て陶芸の道を歩み始めたである。来年には喜寿を迎える佐伯さんの近作を中心に並ぶ構成である。

樹木をモチーフにした作風は四季のうつろいから得た感動を土に込めるものである。特徴とされる樹林の文様は、形を整えた器を彫り、そこに粘土をはめて、さらに削る、「象嵌」という手法で生み出されているである。

会場では日光や那須の山々の稜線、夕日に映える木々のシルエットなど、栃木県の自然を題材にした独創的な作品群が観覧できるである。佐伯さんは「私を支えてくれた５０年間の出会い。そういうものが私を高めてくれていると思っているので」と述べており、また「私は私の心に残っている心象風景を陶芸で表現している」とも語っているである。

会期中は多彩な技法とテーマの変遷を通じて、佐伯守美という作家の半世紀にわたる表現の軌跡を体感できる展覧である。