第12回 新千歳空港国際アニメーション映画祭では、北海道にゆかりの作家による特集プログラム「北海道現代アニメーション 2025 ＋ 『轍を越えてゆけ』特別上映」が行われた。4作品の短編上映と作家インタビューが組まれ、地域の表現の現在地を紹介した。

『ほしのはなし』の阿部静氏はドヴォルザーク「ユーモレスク第7番」をモチーフに命をテーマに前向きさを描いたと語った。『One Last Wish』の黒島亜夢氏はDADA GAUGUIN氏の楽曲をベースに「好きなものを貫く気持ち」を映像化したとコメントし、Sora氏の『アイランド（The Island）』は利尻島での取材を通じて音や自然描写にこだわった作品であると説明した。

第二部では札幌市立大学出身のVab.png監督による『轍を越えてゆけ』が特別上映され、スタジオDOTのVab.png監督とプロデューサーのふたもく氏が登壇して監督トークを行った。本作は「NEW CHITOSE AIRPORT PITCH 2024」でのプレゼンからクラウドファンディングを経て制作され、今年10月にテアトル新宿で公開された。監督は子どもの頃に祖母と訪れた映画館での上映を感慨深く語り、オンライン中心の制作が「青春を取り戻すような気持ちで始めた」プロジェクトであったことや、「アニメを作るために集まったというより、集まるためにアニメを作った」と振り返り、約100人が制作に参加した点も明かした。