2025.11.24

『べらぼう』第45回で写楽の片鱗

2025.11.24

キービジュアル 出典: artexhibition.jp

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大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」の第45回「その名は写楽」は、江戸の美術史を巡る謎が一層深まる回である。蔦重(蔦屋重三郎、横浜流星さん)と歌麿(染谷将太さん)という二人の男の確執と創作の過程が丁寧に描かれる。

松平定信(井上祐貴さん)に促され、一橋治済(生田斗真さん)への復讐の一策として「写楽」を生み出す企てが始まる経緯が示される。関係者たちは平賀源内を仮想復活させ、彼が描きそうな役者絵を作るという高難度の挑戦に直面する。

窮地を脱するため、蔦重の妻てい(橋本愛さん)が単身歌麿の元へ赴き、蔦重が歌麿の下絵を基に完成させた「歌撰恋之部」を披露する場がクライマックスとなる。本作は後年、歌麿の最高傑作とも評される名作群であり、その提示によって歌麿の心情と蔦重の思いが浮き彫りになる。

劇中、ていは「これは蔦屋重三郎からの恋文にございます。正しくは恋文への返事にございます」と告げ、その言葉が関係性の説明として重みを持つ。ていの観察眼と知性が、蔦重と歌麿の関係に踏み込みつつ店と命運を救うための説得力ある手段として機能する描き方になっている。ドラマの場面写真はNHK提供であり、物語の緊迫と登場人物の心情が映像でも印象的に表現されている回である。

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