兵庫県西宮市の県立西宮北高校が23日、人気アニメ「涼宮ハルヒの憂鬱（ゆううつ）」の舞台とされる学校として初めてファン向けに校舎を開放した。近隣の高校との統廃合で2027年に閉校する予定のため行われ、定員1千人の募集は開始から半日余りで埋まった。

原作は同校卒業生の谷川流（ながる）さんで、アニメ版では同校がモデルとなった「北高校」や学校前の急坂がファンに「ハルヒ坂」として親しまれている。校舎の外観や坂道が作品の場面と重なり、以前から国内外の聖地巡礼が絶えなかった。

今回の開放では来場者向けの工夫として生徒たちがアニメで登場した場所にQRコードを設置し、スマートフォンで読み取るとアニメで流れた場面の画像が表示されるAR（拡張現実）を用意した。上内伸一郎教諭（44）は「2つの違う学校の生徒たちが協力できる、探求学習の良い機会になった」と述べている。

来場者からは校舎内に入れた驚きや中学受験時に主題歌に励まされた思い出などの声が聞かれ、地域とファンが交流する場となった。西宮北の校舎は今後も使用されるが、「西宮北」の校名は現在の2年生が卒業する27年3月でなくなる予定で、今回の限定公開は閉校前の特別な取り組みとして注目を集めた。