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08/26読書会 ヤスパース『哲学入門』

一流の哲学者が哲学を知らない人のために啓蒙書を書いてくれるのはまれである。哲学入門という表題の本はたいてい二流三流の研究者の手によるもので、過去の有名な哲学説をざっと紹介するようなものが多い。ヤスパースの『哲学入門』は、そのような現状における例外と言えよう。ヤスパースは、ハイデガーやウィトゲンシュタインらと並んで20世紀を代表する哲学者のひとりであり、本書はただ哲学説を列挙するだけの書物ではない。「包括者」や「限界状況」など、ヤスパース哲学のキーワードが初心者向けにわかりやすく解説されている。また、哲学とは何か、哲学的な生活とはどのようなものであるのか、人類の歴史にはどんな意味があるのかなど、興味深い話が盛り沢山である。ヤスパースの他の著作は難解なものが多いが、本書はラジオ放送の内容を活字にしたものなので割とすらすら読める。ラッセルの哲学入門と並んで、初めて読む哲学書としてお勧めする次第。

個人的な感想を述べると、子供の哲学をいくつか紹介しているところと、それらのついてのヤスパースの解釈が非常におもしろかった。ちょっと不満なのは、神の存在を前提として思考しているところだ。カント同様、プロテスタントの信仰を哲学的に擁護しようとしているような印象を免れない。キリスト教文化圏に属さない日本人の場合、違和感を覚える読者は少なくないのではないか。


2017/08/30 (水)

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