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7/22読書会(和書)ドラッカー『ポスト資本主義社会』

資本主義の次に来るのは何か? 一昔前なら、マルクスの主張するような社会主義/共産主義と答える人が多かった。現在では、フランシス・フクヤマのごとく資本主義で歴史は完結し、次などないと信じている人も少なくないようだ。

しかし、ドラッカーの主張は違う。ポスト資本主義社会は知識社会だというのである。知識を仕事に応用することによって生産性革命が起き、知識労働者が企業やNPO、そして国家の主役に躍り出た。労働・土地・資本という伝統的な資源ではなく、知識という資源が富を生み出す新時代に入っているのである。グーグルやアップルなど知識指向の企業が成功を収め、伝統的資源の少ないシンガポールなどの小国が繁栄する現実に鑑みて、ドラッカーの慧眼には賛嘆を禁じ得ない。

欧米の学者には珍しいことに、ドラッカーは日本の経済や社会に精通しており、本書でも頻繁に言及している。日本を賞賛するようなものが多いが、中には手厳しい批判もある。日本はまったく新しい課題に応えなくてはならない。知識によって動かされるポスト資本主義社会においては、国家も企業も学校も血を流すような変革を余儀なくされる。わたしたちは辛いながらも実にエキサイティングな時代を生きることになるのだ。

ちょっと気になるのは、21世紀前半の日本や欧米が「ポスト」資本主義社会に突入しているという本書の主張は本当だろうかということだ。大企業は相変わらず株式市場で資金を調達し、グローバルに激しく競争している。巨大化した銀行や保険会社も健在。金持ちと貧乏人の格差は広がるばかり。これは資本主義そのものではないのか。ドラッカーは資本主義は終わったと信じているようだが、実際は変質しただけなのかもしれない。であれば、怒れる貧乏人が暴力的手段によって既存の秩序を打倒するだろうというマルクスの予言は、いまだ可能性なきにしもあらずではないだろうか。

2017/08/30 (水)

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